こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
予備試験27年6問(民法)を実践的に検討の際,「4.ウエ」か「5.エオ」に正解が絞り込めたとスク東先生が話してました。
でも,正しいことが判明したのは,肢イと肢エだけです。なので, 「2.アウ」も正解になりうるのではと花子さんは思いましたが,果たしてそうでしょうか。では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。では,早速,昨日の続き行ってみましょう。
問題はこちらです。
先取特権に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- ア.一般の先取特権者は,債務者の財産の中の動産が売却されて買主にその引渡しがされた場合,債務者が取得する代金債権について,その払渡しの前に差押えをしなくても先取特権を行使することができる。
- イ.動産売買の先取特権者がその代金債権を第三者に譲渡した場合,その先取特権は代金債権とともに第三者に移転する。
- ウ.動産売買先取特権と動産質権が競合する場合,動産質権は動産売買先取特権より先順位となる。
- エ.不動産の保存行為が完了した後直ちに不動産の保存の先取特権の登記をした場合であっても,その先取特権は,その登記より前にその不動産について登記された抵当権に先立って行使することができない。
- オ.不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには,工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
「2.アウ」が,正解にならないのは,わかりましたか。
なるほど,ちょっと難しかったですかね。一緒に考えてみましょう。例えば,エが誤りと確認しました。なので,「4.ウエ」「5.エオ」のエは,誤りですね。
そうすると,仮に「ウ」が誤りであれば,「2.アウ」「4.ウエ」のウが,誤りになります。
そこまで,わかれば「2.アウ」は,正解にならないということが分かりませんか。
いいですね,続けてください。
そうですね。正解が2つは,問題としてありえません。なので,肢2が切れます。このテクニックのことを背理消去法といいます。
そうですね。では,より簡単に使える方法を説明します。本問での「4.ウエ」「5.エオ」における肢エは誤りです。
そうすると,「エ」の相手方である,「4.ウエ」の「ウ」と「5.エオ」の「オ」が入っている他の肢は,切れることになります。
本問の場合,「2.アウ」「3.イオ」があたります。
はい,これを使えると,肢アは,検討不要なことがわかります。昨日の段階で,肢イが正しいので,「1.アイ」「3.イオ」を切っていましたからね。背理消去法で「2.アウ」が切れると,「ア」の検討は,不要になります。
そうですね。次に,肢「オ.不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには,工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。」は,いかがですか。
なんででしょうか。
そうですね。一方で,動産売買先取特権と動産質権は,物の交換価値として同じですね。なので,両者の違いがそこまでないではないかと・・・。
実際は,複雑な条文構成になっていますが(330条,334条)。
この辺りが,現実的な解答だと思います。ポイントは,時間がかかりそうな肢を先に切って,後は利益衡量で正解を出す。
適宜,背理消去などもテクニックも使うと良いと思います。
では,時間となりましたので終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。
なお,肢の復習をしたい方は,こちらをご確認ください。