こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年14問(民法)【司法試験28年30問】肢「オ.判例によれば,Aが死亡し,その相続人がBとCの二人であり,BがCの親権者である場合において,BがAを被相続人とする相続につき自ら相続放棄をするのと同時にCを代理してCについて相続放棄をしたときは,B及びCの相続放棄はいずれも有効となる。」を検討しました。事実関係は,夫婦であるAとBの間に未成年の子Cがいる場合です。BのCを代理した相続の放棄は,外形的,客観的に利益相反にあたらないようなのですが,どういった意味であたらないのでしょうか。スク東先生に質問を受けて,花子さんは考えていたのでした。では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速ですが,昨日の質問で,どういった意味で,利益相反行為にあたらないでしょうか。
いい指摘です。条文を確認しましょう。
(相続の放棄の効力)
民法第939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
この939条によれば,Bが相続放棄した時点で,客観的に相続人でなくなりますね。
そうですね。Bは,外形的,客観的に無関係といえますからね。細かいようですが,同時までOKなのは,わざわざ,Bが自身の相続放棄を先にして,すぐにCを代理して相続放棄することは手続上迂遠だからですね。
概ね,それで,解答を出すうえでは結構です。
まあ,後は参考ですが,類似判例で相続放棄と後見人の利益相反行為(最判昭53.2.24)の問題意識を触れたいと思います。
そうですね。なんで,そんな話をするか分かりますか。
いや,肢の表記ですよ。肢オに「判例によれば」と書いてありますでしょ。
その「わざわざ」がポイントです。一様,参考判例も確認しておけ,条文と参照して考えておけという出題者からのメッセージだと思うのですよ。
そういうことです。なので,問題点は確認しておきます。結論をいうと,相続放棄が単独行為なのが問題です。
そうなりますよね。利益相反行為は取引を予定しており,最判昭53.2.24(民百選Ⅲ-49)の判例までは,相続放棄のような単独行為には適用がなかったようです。
まあ,そんなことろです。重要性が高いとは思えませんが指摘はしておきます。「判例によれば」とわざわざ記載があるときは,何を意図しているのかを少し押さえた方がいいと思いますので・・・。
では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。