予備試験28年11問(民法)肢ウを検討する 第4回 建物明渡し請求後の賃料支払義務(最判平9.2.25)

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年11問(民法)【司法試験28年22問】肢ウを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年11問(民法)【司法試験28年22問】肢「ウ.判例によれば,AがB所有の甲建物を賃貸権限を有しないCから賃借している場合において,BがAに甲建物の明渡しを求めたときは,Aは,甲建物を使用収益することができなくなるおそれが生じたものとして,Cに対し,それ以降の賃料の支払を拒絶することができる。」を検討していきます。

この肢は,どうですか。

考えている

正しいですね。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

花子さん

なんとなく,勉強して知ってました。

なるほど,それは,ただの暗記ですね。あっていても,良くないですね。

考えている

はい,ですので,この機会に押えたいと思います。

そうですか。姿勢は悪くないですね。どの辺が問題の所在でしょうか。
建物所有権者のBがAに甲建物の明渡しを求めたとき,本肢のAはどうしなければいけませんか。わかりますか。

東花子さん

明け渡さければいけないと思います。

いいですね。結論あってますね。AはCから借りてますが,Cは賃貸人になれる権限がありません。

花子さん

はい,ですので,AはBとの関係で無権利者ということになります。

そうですね。CAの賃貸借契約は,Bとの関係で他人物賃貸借となります。債権的に,当事者間では有効ですが物権的に,所有権者に効力を主張できません。

考えている

そうだと思います。たしか,BがAに明渡しを請求した段階で,CのAに対する債務が履行不能なると記憶してます。

いいですね。良く勉強されているじゃないですか。BがAに明渡し請求した時点で,CがBと交渉して適法に賃貸できる権利を備えることは,社会通念上履行不能になってますね。

東花子さん

そうですね。Aに明渡しを求めた段階で,客観的にそういえそうです。

はい,では,CのAに対する賃貸人の債務は,履行不能となったとして,一般的に,これを理由としてAは,Cからの賃料請求を拒めますか。あくまでも,「一般的」にですよ。よーく考えていてください。

東花子さん

えっ,拒めるんじゃないですか。

なるほど,その回答がでるということは,本当の意味では理解していないことになりますよ。履行不能の場合でも,一般的に契約は終了しません。条文も見ましょう。

(履行不能による解除権)
民法第543条
履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

これで,いかがですか。

花子さん

まさか,解除をしないと契約は終了しないとかいうのではないでしょうか。

そういうことです。履行不能になると解除権は発生しますが,解除権の行使をしなければ契約は一般的に終了しません。
したがって,CA間の賃貸借契約も,契約が継続しているので,Bの明渡し請求後のCの賃料請求をAは拒めないのではという問題が生じます。

東花子さん

そうですか。ようやく,ポイントがわかりました。

しかし,本件のような場合,賃貸借契約は,当事者の解除を待たずして当然に終了すると判例はしてます(最判平9.2.25)。まさに,この点を聞いてますね。

東花子さん

そうか,大変よく分かりました。実際に,建物賃貸人の建物引渡債務が履行不能になっているのに,賃料のみを請求できるのは公平に欠けます。

はい,また,解除の意思表示が必要なのは,表意者の意思を尊重するためです。賃貸借契約の目的も達成できないのに賃料を支払う賃借人は通常いません。したがって,解除を待たずして賃貸借契約を消滅すると判断しても,当事者の合理的意思に反しないと判断できるのだと思います。

花子さん

なるほど,勉強になりました。

はい,この位で良いと思います。あとは,実際に本件のような場合に,賃借人に解除の意思表示を要求することは,迂遠との価値判断もあると思います。
せっかくなので,指摘しておきます。結論を出すだけなら,簡単ですが,この機会にしっかり理解しておきましょう。
では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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