こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年7問(民法)肢3を検討することになりました。では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,予備試験28年7問(民法)【司法試験28年14問(民法)】肢「3.抵当権者が第三取得者に対して代価弁済の請求をした場合,第三取得者は,その請求に応じなければならない。」を検討していきます。
この肢は,どうですか。
なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。
そうですね。条文を確認してみましょう。
(代価弁済)
民法第378条
抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
確かに条文上は,「抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したとき」となっているので,応じなくてもよいと読み取れます。しかし,例によって本番で条文は,見れませんので意味を考えたいですね。
なぜ,そうなっているのでしょうか。
確かに,イメージが難しいですが・・・・。でも,それじゃ,なんで結論あっているんですか,まずいですね。
代価弁済は,抵当権付きの不動産を第三者が買受けるときにできます。
それも,被担保債権の額が,抵当不動産の額より高いときに特に問題になりますよ。
なるほど,それでは具体例をあげて考えてみましょう。例えば,AがBに対してももつ被担保債権の額が3000万で,B所有の抵当不動産が1000万だとします。この場合に,BからCが抵当不動産を買受けることをイメージしてみましょう。
Cは,Bからこの抵当不動産をいくらで購入しようと思いますかね。
おお,いいですね。最悪,Cは抵当権付では,抵当不動産を買わないことも考えられます。
仮に,Bが債務不履行して,Aが抵当権を実行しようものなら,Cは権利を失ってしまいますからね。
Bの事情は,Cはコントロールできないので,とてもじゃないけど,1000万円では買えませんね。
はい,Bは,自分で抵当権を設定しているのである程度仕方ないでしょうが,少なくともCは,保護する必要があります。
もし,仮にこの場合Cが安全な所有権を取得するためには,Aに3000万円を弁済する必要がありますが,不動産価格1000万のために3000万を出す方は,通常おりませんね。
そうです。ですので,Cが安心してBと抵当不動産を取引できるようにすべきである。この目的を達成するため制度が,抵当権消滅請求や代価弁済なんですよ。
はい,そうです。抵当不動産の第三者から抵当権者に,抵当権の消滅を求めるのが抵当権消滅請求,その逆が代価弁済となります。その中身は,上げた具体例であれば,抵当不動産1000万円で,被担保債権3000万円の抵当権を消滅させろというものになります。
その通りです。ということは,抵当権者(本件ではA)から,弁済を求められても,抵当不動産の第三者取得者(本件ではC)は応じる義務はありません。
はい,これで結論がでました。逆に,抵当権消滅請求の場合,抵当権者は何らかの対応が迫られます(383条,384条,385条)。今回は,詳しくやりませんが,確認しておきましょう。やはり,イメージが大事ですね。
では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。