こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年4問(民法)肢4を検討することになりました。では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第4問【司法試験28年6問】(民法)肢「4.A所有の甲土地に隣接する乙土地の所有者であるBが乙土地を掘り下げたために,両土地の間に高低差が生じ,甲土地が崩落する危険が生じている場合において,その危険が生じた時から20年を経過した後にAがBに対し甲土地の崩落防止措置を請求したときは,Bはその請求権の消滅時効を援用することができる。」を検討していきます。
この肢は,どうですか。
なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。
そうですね。結論はあってますが,少し詳しくいきたいですね。
まず,本件の物権的請求は,返還請求,妨害排除請求,妨害予防請求のどれでしょうか。
そうですね,いいでしょう。先ほど,東さんが所有権に基づく物権的請求権は消滅しないと指摘されましたが,少し悩みを出してみたいです。
条文を出しますので,考えて見てもらえますか。
(債権等の消滅時効)
第167条
1.債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2.債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。
何か,条文をみて気づきませんか。
おお,いいじゃないですか。物権と物権的請求権は,訴訟物としても別の取扱ですからね。したがって,物権的請求権は物権そのものではないとも考えられます。
はい,だから,この肢も,「その危険が生じた時から20年を経過した後にAがBに対し甲土地の崩落防止措置を請求したときは,Bはその請求権の消滅時効を援用することができる」として,20年行使しない時と強調してます。
そうですね。では,その理由は,なぜか,わかりますか。
なかなか,難しくなってきました。こういう時は,所有権に基づく物権的請求権を単独で消滅させる不都合性を考えると良いですよ。論理を貫くと自然と問題点が浮かんできます。仮に,物権的請求権が単独で消滅すると,所有権の内容はどうなりますか。
そうですね。物権は,第三効も認められる強い権利です。したがって,物権法定主義が原則で,内容をバラバラにすることは性質上まずいですね。
したがって,所有権の内容が単一になるように,所有権に基づく物権的請求権は,時効に関しては,単独で消滅しないと考えることになります。
こう考えることが,166条2項で所有権を保護した趣旨にも合致します。
はい,そうですね,ぜひ,条文から考える癖をつけていきましょう。
では,ちょうど時間となりましたので,本日はここで終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。