予備試験28年4問(民法)肢2を検討する 第3回 所有権の喪失時期【最判平6.2.8】

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年4問(民法)肢2を検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第4問【司法試験28年6問】(民法)肢「2.A所有の甲土地上に権原なく乙建物を所有しているBがCに乙建物を売却し,CがBからの乙建物の所有権移転登記を経由した後,CがDに乙建物を売却した場合には,DがCからの乙建物の所有権移転登記を経由していないときであっても,Aは,Cに対し,乙建物の収去及び甲土地の明渡しを求めることができない。」を検討していきます。

この肢は,どうですか。

考えている

誤ってますね。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

判例があるみたいです。(最判平6.2.8)

なるほど,そうですかって,それじゃ,全く役に立つ解答になっていません。
知らなければアウトになってしまいますからね。やはり,なぜかを考えていきましょう。

東花子さん

わかりました。よろしくお願いします。

まず,どこが問題でしょうか。

花子さん

Cは,登記はあるもののDに所有権を移してしまっているので,乙建物の所有権はないのではないでしょうか。

その通りですね。良い指摘です,そうするとどうなりますか。

考えている

うーん,Cは乙建物が自分の物ではないので収去できないということになると思います。

なるほど,だから本件の場合,Aは,Cに対し,乙建物の収去及び甲土地の明渡しを求めることができないとも考えられるということですね。

東花子さん

そうですね。そう思います。

しかし,判例は,Cに対する請求も認めてますね。どうして,そう考えるのでしょうかね。

東花子さん

うーん,本件の場合,Dに請求はできるのでしょうが,転々譲渡された場合などに実際の所有者を調べるのが困難な場合があるのだと思います。

なるほど,よく考えてますね。したがって,できるだけAの権利行使をしやすくすべきだということでしょうか。

東花子さん

そう思います。登記であれば,公示されているので請求の相手方が分かりますからね。

そうですね。しかし,最初に東さんが指摘された乙建物の所有権はDに移っているという説明はどう乗り越えるのでしょうか。Aから見ればCに請求できる必要性はわかるのですが,法的に説明しないといけません。

東花子さん

あれ,どうすれば良いのでしょう。

そうですか。そういう時は,条文を確認して見ましょう。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
民法第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

この条文を見てなにか気づきませんか。

考えている

うーん,なんか思い出してきました。確か,不動産に関する物権の得喪の「喪」に関係していたような気がします。

おお,いいですね。「喪」は,喪(うしな)うという意味ですね。所有権の喪失を対抗するためには,登記の移転が必要と説明できます。

東花子さん

そうか,そうすると本件Cは,乙建物の登記を持っている以上,所有権を喪ったことをAに対抗できない。だから,Aの請求が認められるという結論になるのですね。

そうですね。これで,一様,説明ができました。理解をするためには,基本的なことをコツコツやっていくことが大事です。とにかく,継続的に頑張っていきましょう。
では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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