予備試験28年3問(民法)肢オを検討する 第8回 145条の当事者(取得時効が問題になった土地上の建物の賃借人)最判昭44.7.15

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年3問(民法)肢オを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第3問【司法試験28年5問】(民法)肢「オ.建物の敷地所有権の帰属につき争いがある場合において,その敷地上の建物の賃借人は,建物の賃貸人が敷地所有権を時効取得しなければ建物賃借権を失うときは,建物の賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することができる。」を検討していきます。

この肢は,どうですか。

考えている

誤っていますね。

あってますね。どうして。そう考えますか。

東花子さん

たしか,判例があったように思います。

そうですね。判例も,取得時効が問題になった土地上の建物の賃借人は,時効の援用権者にあたらないとしております。
しかし,それだと,知らなければ正解できません。ぜひ,理論的に押さえていきたいですね。

東花子さん

私も,そう思います。ぜひ,よろしくお願いします。

はい,では,大前提である時効の援用権者に関わる条文を確認しましょう。

(時効の援用)
民法第145条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

145条によれば,時効が援用できるのは,「当事者」ですが,これは,時効の援用によって直接利益を受ける者ですね。
(詳細な説明を確認したい方はこちら
これを基礎に考えると,取得時効が問題になった土地上の建物の賃借人は,直接利益を受ける者にあたりますか。

考えている

結論から考えると,判例は,当たらないと考えているのでしょうね。

そうですね,あっているのですが,取得時効が問題になった土地上の建物の賃借人が,どのように直接利益を受ける者にあたらないと説明しましょうかね。

東花子さん

問題文に,「その敷地上の建物の賃借人は,建物の賃貸人が敷地所有権を時効取得しなければ建物賃借権を失う」とあります。このあたりと関係するのでしょうか。

そうですね。敷地の所有権を取得しなければ,建物は存立基盤を失うことになりますから,建物賃借人も不利益をうけますね。
ここを,どう評価するかがポイントです。

考えている

そうですね、どう考えましょうか。

取得時効で直接利益を受けるというためには,時効により何かしらの権利を取得することが必要です。建物賃借人は,土地の取得時効によって,何か権利を新たに取得するわけではありません。この辺りを考えたいところですね。

東花子さん

うーん,難しいですね。もう少し具体的に説明して貰えますか。

はい,取得時効は,権利の発生が効果です。したがって,発生の効果によって,権利を取得できるかが直接の利益と考えられます。なお、参考までに消滅時効は,権利の消滅が効果です。したがって,消滅の効果によって,権利の制限が外れたり,義務を免れたりすることが直接の利益となります。判例もそのように,意味づけてますよ。(大判昭43.1.25)

東花子さん

なるほど,取得時効や消滅時効の効果に即して,直接の利益を判断するのですね。

はい,その通りです。そう考えると,「建物の賃貸人が敷地所有権を時効取得しなければ建物賃借権を失う」という建物賃借人の利益は,明らかに,取得時効の効果である権利の取得とは,明らかに別と判断できますよ。

東花子さん

確かに失うって消滅ですものね,非常に良くわかりました。

はい,このように押さえれば,「取得時効が問題になった土地上の建物の賃借人」は,直接利益を受ける者でないと判断できます。ぜひ,この機会に確認しておきましょう。

では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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