予備試験28年3問(民法)肢アを検討する 第2回 145条の当事者(抵当不動産の第三取得者)最判昭48.12.14

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年3問(民法)肢アを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第3問【司法試験28年5問】(民法)肢「ア.抵当不動産の第三取得者は,その抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。」を検討していきます。

この肢は,どうですか。

考えている

正しいですね。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

たしか,判例があったように思います。

そうですね。判例も,抵当不動産の第三取得者は,時効の援用権者にあたるとしておりますね。
しかし,知らなければ正解できません。それは,望ましくないので,理論的に考えていきましょう。

東花子さん

わかりました,よろしくお願いします。

はい,では,本問を考える上で,一番大事な時効の援用権者に関わる条文を確認してみましょう。

(時効の援用)
民法第145条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

145条によれば,時効が援用できるのは,「当事者」です。そうすると,抵当不動産の第三取得者は,抵当権の被担保債権の当事者ですか。

東花子さん

うーん,素直に考えると違うと思います。当事者は,被担保債権の債務者です。

その通りです。抵当不動産の第三取得者は,第三者であり「当事者」でないと読めますね。したがって,消滅時効を援用できないのが文理解釈からの論理的帰結です。

東花子さん

はい,その通りです。しかし,判例は,抵当権の第三取得者は時効を援用できるといっているので,その結論だと問題があるということだと思います。

そうですね。良くポイントを押さえていると思います。どういった問題があるのでしょうかね。

花子さん

極端な話,債務者が被担保債権を援用しないで,放棄をしようものなら,抵当権が実行される危険がある。そうすると,抵当不動産の第三取得者は不動産の所有権を失ってしまうのではないでしょうか。

そうですね。抵当不動産の第三取得者としては,債務者の都合で,権利が奪われたらたまったものではないです。
したがって,時効の援用を抵当不動産の第三取得者に直接,認める必要がありますね。

東花子さん

それは,その通りだと思います。

そこで,どう説明しましょうか。なにか,説明のパターンがありましたね。

花子さん

はい,趣旨から説明するのだと思います。

おお,いいですね。考えが身についてきました。文理解釈の論理的帰結が不都合だから,援用を認めるというのは,法的な整合性を図っていないことになります。条文の文理を踏まえつつ,それを乗り越えて,法的に説明する感じを出さなければいけません。どう説明しましょうか。

東花子さん

そうですね,145条で「当事者」とした趣旨は,時効の援用によって直接利益を受けるものを当事者として保護するものだと思います。特に保護に値するべきものに限って援用を認めるものだと思います。

そうですね。ここは,いろいろな説明があると思いますが,判例も「時効により直接利益を受ける者」と解釈してますので,それに沿った趣旨を自分で考えれば良いと思います。大切なのは,法的思考力を示すことですよ。

花子さん

わかりました。思考を示すことを大事にしたいと思います。

それで,「時効により直接利益を受ける者」が145条の「当事者」として,抵当権の第三取得者はどういった意味で,直接利益をうけますか。

考えている

なるほど,良く考えていませんでした。

あらら,そこが最後,一番大事ですよ。結局,被担保債権が時効の援用により消滅したら,抵当権も付従性により消滅することになります。そうすると,抵当不動産の第三取得者は,自分の負担していた抵当権が消滅するので,直接利益が生じることになりますね。

東花子さん

確かに,担保責任がなくなる点で直接利益をうけますね。

はい,このように,キチンと意味づけて,初めて,抵当不動産の第三取得者は,時効によって直接利益をうけるので145条の「当事者」にあたる。したがって,145条により時効が援用できると説明できますよ。

東花子さん

その通りですね。なんとなく,援用できるといっても,全く駄目ですね。キチンと条文に当てはめる姿勢が大事です。

はい,この考え方は,非常に大事な考え方なので,しっかり身に付けましょう。
では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 総則, 平成28年, 平成28年, 民法, 民法・商法・民事訴訟法 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中