こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年1問(民法)肢オを検討することになりました。肢の結論は,わかったのですが,526条1項の発信主義の意味を確認することになりました。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。526条1項が発信主義を取っている意味はわかりましたか。
そうですか。では,早速やっていきましょう。条文も載せておきますね。
(隔地者間の契約の成立時期)
民法第526条
1. 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
2.(略)
では,なぜ,承諾は発信主義が採用されているのでしょうか。
なるほど,そうですね。契約の成立には,申込みと相手方の承諾が必要です。
申込み対して,承諾を発生した段階で,客観的にも契約成立要件が満たされてますね。
説明としては,概ね大丈夫です。ただ,承諾の発信のときに契約が成立すると少し問題が生じるのはわかりますか。
そうですか,そこを押さえておかないと忘れてしまう可能性があります。例えば,契約の承諾が申込者に到達しなかった場合を考えるとどうですか。
良く気づかれましたね。そこで,申込者が,承諾者と別の人と契約してしまった時に問題になりますよ。
はい,その後は,契約が成立しているので,契約の承諾者から申込者は契約による債務の履行を請求されることが考えられます。
はい,なのに契約の承諾には,発信主義が採用されております。承諾が,到達しなかったリスクは,申込者が持てということを意味してます。
そうですよね。でも,法は,契約の迅速性を優先性して,承諾者の契約成立の期待を保護している。ここをうまく説明しないと間違えると思うですよ。
ここは,いろいろあるでしょうが,一つの考え方として,申込者は,契約成立の時期を到達時にできる点があげられます。
うーん。確かにごちゃごちゃしてきました。申込みの際に,期限を定めると到達時に契約が成立することになりますよ。
条文もあるので,一緒に確認してみましょう。
(承諾の期間の定めのある申込み)
民法第521条
1. 承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない。
2. 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
はい,ですので,先ほどの例(承諾後その通知が申込者に到達しなかった例)でも,承諾の期間を定めていれば申込みの効力がなくなるので契約は成立しないことになります。
おお,いいですね。そういう価値判断が働いております。具体的に利益衡量をすると,理解が深まりますね。ぜひ,参考にしてみてください。
では,今日はここで終わりにしたいと思います。
この続きは,また明日,お楽しみに。