予備試験27年8問(民法)肢アを検討する 第2回 消費貸借契約の損賠償額の範囲

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験27年8問(民法)肢「ア.消費貸借の約定利率が法定利率を超える場合,借主が返済を遅滞したときにおける損害賠償の額は,約定利率により計算される額であり,貸主は,約定利率により計算される額を超える損害が生じていることを立証しても,その賠償を借主に請求することはできない。」を検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,昨日の予備試験27年第8問民法肢「ア.消費貸借の約定利率が法定利率を超える場合,借主が返済を遅滞したときにおける損害賠償の額は,約定利率により計算される額であり,貸主は,約定利率により計算される額を超える損害が生じていることを立証しても,その賠償を借主に請求することはできない。」を検討していきましょう。正しいですか。間違っていますか。

考えている

正しいですね。

なるほど,正解ですね。どうして,そう思ったのですか。

東花子さん

確か,金銭債務の特則で,債務不履行の場合の損害賠償は,法定利息を超えた場合は,約定利息によるという規定があったと思います。その規定が適用されるのではないでしょうか。

なるほど,金銭債務には,そのような特則がありましたね。条文も確認して見ましょう。

第419条
1. 金銭の給付を目的とする債務の不履行については,その損害賠償の額は,法定利率によって定める。ただし,約定利率が法定利率を超えるときは,約定利率による。
2.前項の損害賠償については,債権者は,損害の証明をすることを要しない。
3.第一項の損害賠償については,債務者は,不可抗力をもって抗弁とすることができない。

損害賠償の範囲は416条が別にありますが,消費貸借の場合は,419条1項が適用されるのですね。

第416条
1.債務の不履行に対する損害賠償の請求は,これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2.特別の事情によって生じた損害であっても,当事者がその事情を予見し,又は予見することができたときは,債権者は,その賠償を請求することができる。

考えている

そうですね。結論から考えると,そうならざる負えないと思います。

うーん。ここは,難しい問題が,ありそうなのですが,消費貸借契約の借主が,不当に重い責任を負うことだけは,まずそうです。

東花子さん

なるほど,どうしてでしょうか。

具体的に考えると,一般的に借主は,目的物がないから借りるのですよね。借金を考えると非常によく分かります。それを,予見可能だったからといって,約定利息より,多く支払うのは,借主にとって,重い負担となります。

東花子さん

うーん。確かにそうかも知れませんが,賃貸借の場合は,416条だったと思いますが・・・

そうですね。それは,そうなのですが,消費貸借の場合は,新たに調達をしなければいけません。借りることで,厳しいのに,調達して返せなかったら,約定利息以上に重い負担を負うのは借主に酷すぎるように思います。

東花子さん

なるほど,借りたものを単に貸せばいい賃貸借の場合と利益状況が異なります。

そうですね,したがって,貸主が損害を立証しても,消費貸借は,419条1項が適用されると思います。
難しい議論もあるようなのですが,結局は,借主と貸主の利益衡量を図ることが大事です。どちらを保護すべきかという判断に集約されます。あまり,突っ込みすぎないのも,時には大事です。
では,今日も,時間となりましたので,終わりします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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