こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,スク東先生と,無権代理の過去問【司法平成23年第3問・予備平成23年第2問】を肢アから順に検討することになりました。
その過程で,民法115条の意味を考えることになりました。スク東先生とのやり取りの結果,取消権を認めるのは,無権代理人の地位が不安定だからだということは,わかりました。しかし,それでは,なぜ善意の相手方だけ115条の取消権を認めているのかを聞かれて悩んでいたのでした。では,はじまり,はじまり。
無権代理の相手方の地位が不安定なのは,この説明だと善意でも悪意でも一緒ですね。
115条ただし書は,悪意を除外しており,結果として,善意者のみに取消権を認めている。これは,なぜだか,わかりますか。
そうですね。抽象的にはあっているのですが,それを具体的に説明してもらいたいですね。
なるほど,ちょっと難しいですかね。こういうときは,具体例ですね。例えば,甲の物Aを乙が丙に対して無権代理人として売却する場合に,乙が丙に対して「今は,売却権限がないが,甲を説得して物Aをあなたにわたすから」と説明した場合,丙がどうしても物Aがほしかったら乙と取引することはありますね。
そうですね。しかしその後,事情が変わって別のところで目的を達成したくなった場合に,取消しを丙から認めるべきですかね。
そうですね。乙が甲を説得するということは,ある程度,時間がかかるかもしれませんね。丙はその事情がわかっていて取引に入っているのだから,ある程度待つことが前提となる。
そこで,相手方が悪意の場合は,催告権(114条)で不安定な地位から解放されることが考えられます。
善意の場合に取消権が認められるのは,もちろん催告もできるのですが,すぐ使う予定があった場合,本人の追認を待っていては間に合わないなどの問題が生じる。
分からないときは,具体的イメージをもって,押えることが大事ですね。これで,大丈夫だと思います。あと,もう一つ113条2項の条文が肢アで聞かれていましたね。ですので,明日は113条2項も考えて見たいと思います。楽しみに。