訴えの取下げの合意の効力

訴えの取下げの合意の効力など,明文にない訴訟契約がたまに聞かれる。
短答では,出題例があるが,論文でも出題可能性があるので確認したい。

問(司法22-65 肢5参考)
判例によれば,訴訟外で訴えを取り下げる旨の合意が成立し,被告がその合意の存在を主張立証した場合,裁判所は,どのような判決をすべきか。

1.訴訟外の訴えの取下げの合意の効力
(1)問題の所在
本問では,被告が訴訟外で,訴えを取り下げる旨の合意を主張している。しかし,手続の法定(1条,憲法31条)から,明文がない訴訟契約は禁止されている(任意訴訟の禁止の原則)。そのため,明文がない訴えの取下げの合意を被告が主張しても,訴訟法上の効果は,生じないのではないか問題となる。
(2)結論および理由
明文なき訴訟契約は,処分権主義など,当事者が処分できる範囲であれば,訴訟法の効果が発生する。処分権主義とは,訴訟の開始,判決によらない訴訟の終了,訴訟物の選択などを当事者の権能とする建前をいう。訴えの取下げ(262条1項)は,遡及的に訴訟係属を消滅させるという,判決によらない訴訟の終了であり,処分権主義の範囲であるため効果は,有効に発生する。
理由は以下の通りである。
民事訴訟は,私的自治の延長でもあるため,当事者が決定できる範囲であれば,その意思決定を尊重する必要がある。
手続法定の趣旨は,人権保障を図るためにある。したがって,人権保障が図られていれば,任意訴訟の禁止の原則も,明文ないことを理由に効果の発生を常に制限する趣旨でないと考えるからである。
2.訴訟外の訴えの取下げの合意が,訴訟上で主張された場合の裁判所の判決
(1)問題の所在
訴えの取下げが有効であるとして,本問のように主張された場合に裁判所はどのような判決をすればよいか。明文なく問題となる。
(2)結論および理由
裁判所は,訴訟要件を欠くとして,訴えの却下(140条)すべきである。訴訟要件とは,訴訟物の適法性を基礎づける要件をいう。
もともとが訴えの取下げの合意である以上,請求棄却などの実体判断の効果の発生を認めることは,不当である。また,訴えの取下げとすることは,261条と異なる手続を認めることとなり,法定手続からみて許容できないと考える。

以上

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